「イタリアワインの特徴」
1.「オエノトリア」
ご存知のようにイタリアは地中海に南北に突き出た半島です。 その昔この地はギリシャ人達によって「オエノトリア」すなわち“ワインの地” と呼ばれ愛され、彼らはこの地に移植して南部地方の各地でワイン作りを始めました。 中部ではすでに古代ローマ帝国が誕生するはるか以前からの先住民であった エトルリア人達によってワイン作りが盛んに行われていたのです。 まさにイタリアはワイン作りに最適の天から与えられた“ワインの地”であり、 それは今日でも“ワイン王国イタリア”として変わることはありません。
2.葡萄品種の多さとワインの多様性
イタリアワインの歴史はワインそのものの歴史でもあり、古代から今日まで その品種は莫大な数に上りその多くはギリシャ及びイタリアの土着種です。 その正確な数を把握している人を私は知りませんし、本にも記されていません。 ワインの種類では、ある書物に“160万5785種”と言う数字が記されていました。 しかし、葡萄の品種から言えば19世紀の末にヨーロッパを襲ったフィロキセラ による疫病被害で、今日よりかなりの種類が消えてしまっているのです。 それ以前には数千種以上にのぼったと言われてます。
私もイタリアの片田舎まで何度も足を延ばしましたが、たいてい日本では見たことも 聞いたこともないワインに出会います。こんな国はイタリア以外にないでしょう。
3.イタリアの地酒
そして、これらの葡萄品種がそれぞれの生育に適した場所で栽培され続け、その土地の 文化、料理と深く結びついているのです。各州各地で地元特産のワインが作り出され その多くがその土地から出ることなく地元で消費されてしまう。ある意味では、これが 私にとっては幻のワインなのかも知れません。
ここが、外に向かった(外国に輸出された)フランスワインとの大きな違いの一つが あります。
4.イタリアワイン法は格付けを意味しない!
以上に述べてきたように、イタリアワインの多種類、無秩序性によりワイン後発国 (?)であったフランスにその後技術的、品質的に大きな差を余儀なくされた。 その後、政府によってイタリアワインの品質と水準の向上を目的として制定されたのが “DOC法” であり、これ以後イタリアワインは驚異的なスピードで向上し世界的にも 高い評価を受けるまでになりました。
しかし、この法律は日本では残念ながらワインの格付けを表していると広く信じられ ています。 しかし現実には年間10万klも生産される“Chianti”が1984年にDOCGワインに 認定された後、“Asti Spumante”“Vernaccia di San Gimignano”などの白ワインが 次々とそれに続いて認定されているのです。
近代“Chianti”は、今から100年以上も前にイタリア首相も務めたこともある ベッティーノ・リカソーリ男爵がワインを広く大衆化しその底辺を広めようと 黒葡萄の“Sangiovese”“canaiolo”に白葡萄の“Torrebiano”“ Malvagia” を加えることによって口当たりの良い、飲み易いワインにしたのが始まりなのです。 たしかにDOCG認定後、多くの“Chianti”が混醸ワインに黒葡萄を使うようになり そのいくつかは名実ともにイタリアを代表する名醸ワイン(例を挙げるなら CASA EMMAの "CHIANTI CLASSICO RISERVA")になったものもありましたが その多くはそのレベルにまでは達していないのが事実です。
DOCGとは、そのワインが政府による品質向上の目的と、そのワインが持つ特異性 (つまりそのワインが、どれだけの個性を持ち合わせているか)によって与えられた カテゴリーと考えるべきではないでしょうか。以上の点を踏まえて頂ければ、現時点では十分ではないかと思います。 とにかく、ワインを日常の食生活に少しづつ取り入れて飲んでもらうことが やはり第一の早道でしょう。
近々第2回の講義を始めますので、今しばらくお待ち下さい。
それでは、“CIN! CIN!”(乾杯!)。
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