カンティーナ巡り(第1回)
カンティーナ“ナーダ フィオレンツォ”は、ランゲ地方でも典型的な家族経営の 小規模ワイン醸造所です。作付け面積わずか5ヘクタール、年間生産量約2万本。 生産ワインは、“Barbaresco”“Dolcetto d'Alba”“Nebbiolo delle Langhe” “Seifile”の4種。
ここランゲでは、伝統あるカンティーナが多い中では、比較的新しい作り手 であるが、近年こうした若い研究熱心な生産者たちの頑張りによって今まで 無名に近かったこうしたカンティーナが高い評価を受け始めている。
彼ブルーノもその一人であり、すでに10年近く前からその中のリーダー的役割を になってきた。今ようやく、彼のワインはイタリアワインの最高峰へと登りつめ 始めたところである。私がブルーノ・ナーダ氏と初めて出会ったのは今から3年前の夏であった。当時 私は自分の店を閉めたばかりの自由の身でした。旧知の友人、佐々木氏が 1ヶ月のイタリア縦断カンティーナ巡りをするというので是非同行したい旨伝えると、 氏は快く承知してくれました。
彼はイタリアワイン専門の輸入会社の社長で、 今から20年以上も前からイタリアの優れたカンティーナを自身の足で巡り、 フランスワインに負けない数多くの名醸ワインを日本に紹介したイタリアワインの パイオニアであり、私のワインの師匠でもあります。 このカンティーナ巡りの話は、いずれ又別の機会にお話しましょう。初めてブルーノ氏のカンティーナを訪ねた折り彼が私たちに熱っぽく語る ワインへの情熱に、用意されたワイン“バルバレスコ”と共に私はすっかり 酔いしれてしまいした。
私の独断と偏見であることを前提に言わせてもらえるならば、彼の作るワインは、 かの伝説的なアジェロ・ガヤと双璧をなす、まさに“バルバレスコ”の最高峰 であると信じています。その証の一つが、昨年末イタリアでもっとも権威のある ワインガイドブック “vini d'Italia” 97年版でついに"SEI FILE '93"が"I TRE BICCHIERI 1997" (その年の最高位のワインに送られ、ミシュランの☆☆☆に匹敵)の栄冠を手に 入れた事でも充分証明されたと言えましょう。
ガヤのバルバレスコには、あくまでも飲み手を圧倒するかのような力強さを感じます。 それに反して、ナーダのバルバレスコは一歩ひいた奥ゆかしさを感じさせながら、 その中に非常にバランスの取れた繊細さを持ち合わせています。
ある批評家がこのワインを“morbido(柔らかな、優しい)”と表現していました。 まさに、作り手のブルーノ氏の人柄がそのままワインに結晶されたかのような。 その時から、私は彼とこのバルバレスコの虜となったのでした。そして昨年秋の収獲には、迷うことなく友人の片野氏を誘って彼の葡萄畑に出向き、 ナーダ家での忘れ得ぬ一時を過したのでした。この秋の“今世紀最高の収獲” については、今年も体験した片野氏からもコメントを頂いていますので、 「葡萄収獲緊急レポート」 をご覧ください。
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