「ヴァカンスの真実」
イタリア人のヴァカンス好きも、サッカー好きと並んで(?)良く知られるところ。 実際、ヴァカンスシーズンたけなわの8月ともなると、商店の大半は店を閉め、工場 はもちろんオフィスの多くも開店休業状態。「話は担当者がヴァカンスから帰ってか ら」などということになって、仕事も全然進まなくなってしまいます。 じゃあその間、イタリア人はさぞ優雅なヴァカンスを過ごしているのだろうと思いき や、どうやら実際はそうでもないようです。今回はその実態を少しご紹介しましょう。
- サラリーマンの夏休みは2週間が限度
はたで見ていると夏の間中休んでいるように見えるイタリア人の皆さんですが、個人 経営の商店なんかは別として、サラリーマンが取れる夏休みはせいぜい2週間程度と いう話。最近のイタリア経済の不振で、そうそうのんびり長い休みなんかとっていら れなくなってきたというのが実態みたいです。しかも多くの人は8月15日(こちらで は祝日)を挟んだ2週間に休みを取るので、この期間、高速道路は大渋滞、有名なリ ゾート地はそれこそ湘南並みの混雑です。
- ヴァカンスに行くかやめるか、苦しい選択
去年、今年と、不況の折り、倹約のためにヴァカンスはやめにする人たちも増えてき ました。でもやっぱり「夏はヴァカンス」というのがイタリアの常識。9月になった ら「今年はどこにいったの?」という質問を避けることはできません。その時に恥ず かしい思いをしないためだけに、無理してヴァカンスに出かけたという人もまだまだ 多いみたいです。
- ヴァカンスの行き先
ヴァカンスの目的地で最もポピュラーなのは、やはり海でしょう。東のアドリア海側 ならリミニ、西のイオニア海側ならリヴィエラ、エルバ島、カプリ島、さらにサルデ ーニャのコスタ・スメラルダ(ダイアナ妃も行ってましたね)といったところがメジ ャーなリゾート地。もちろん避暑に行くというのももうひとつの選択肢です。イタリ アの北側はアルプスに囲まれているので、ドロミテ、クールマイヨールなど避暑地は たくさんあります。アルプス以外だと、ミラノの北の湖水地方(コモ湖、マッジョー レ湖)が有名でしょうか。でもやっぱり、青い空と太陽と砂浜、というのはやはり気 分が出るのでしょう、ヴァカンスといえば海、というのがイタリア人のイメージのよ うです。
- 日焼けは「義務」
一旦ヴァカンスに出かけた限りは、帰ったらみんなに自慢しなくちゃいけない、とい うわけで、海に行った場合、まずは何が何でも日焼けする、というのが、ほとんど義 務みたいになっているようです。ぼくはこの夏、地中海の真ん中にあるマルタ島に行 ったのですが、そこで出会ったイタリア人たちは、ともかく肌を焼くことに熱心で「 あーまだこんなに白い。これじゃ帰ってからマルタに行ったって言っても信じてもら えない」とか言いながら、シミも気にせず灼熱のビーチに長いこと寝ころんでいまし た。夕方になって陽が翳ってくると「あっちはまだ陽が射してる」とかいいながら日 向に移動したり、午後には帰りの飛行機に乗るというその朝まで海岸に来て焼いたり してるんだから、みんな大した情熱です。訊くと、日焼けのシミは、こっちでは「ビ ューティフル・シーズ(美しい種)」と呼ばれて、むしろ歓迎されるのだそうです。 ある友達曰く「え、日焼け止め?いらない。そんなのつけたら焼けないもん」。
- 観光にも精を出す
ヴァカンスの自慢話には、その地の観光スポットの話題も欠かせません。ガイドブッ クに「ぜひ訪ねたいところ」などと書いてあると、思わず足を向けなければならない ような気になってしまうもので、教会やら美術館やら古代の遺跡やらと、忙しく訪ね 歩くことになるわけです。彼らは普段我々日本人のことを「写真ばっかり撮っている 」とからかうくせに、自分たちだってけっこうあくせくと写真を撮って回るのです。 もちろん、帰ったら友達に見せて自慢するためであることはいうまでもありません。
- 夜はとにかく遊びまくる
マルタで会ったイタリア人たちは、みんなほとんど毎晩のようにナイトライフに繰り 出していました。行き先はディスコ、パブ、ライブハウスなど、がんがん音楽がかか っていて、踊ろうと思えば踊れるところ。普段は週末くらいしか行かないこの手のス ポットに毎晩通う、というのが、またヴァカンス気分を盛り上げるようです。で、翌 日はというと、朝から精力的に観光なんかしちゃうんだから大したものです。ま、午 後は浜辺にゆっくり(というかぐったり)寝そべるわけですが。
- 疲れ切って家に帰る
というわけで、のんびりと優雅に、というよりも、せっかくの夏休みなんだから、と いう感じで、観光と日焼けとナイトライフであくせくと忙しく過ごし、結局は疲れ切 って帰ってくるというのが、イタリア人のヴァカンスの実像のようです。ちょっと期 間が長いことを除けば、あんまり日本のそれと変わらないような気がしませんか?
