「イタリア郵便事情―ヨーロッパ最低の郵便システム」
イタリアに住んでいると、郵便にはいつも泣かされます。なにしろ、日本から送って もらったはずの荷物(もちろん航空便)が1カ月経っても着かなくてやきもきしたり 、公共料金を払うのに毎回30分も窓口に並ばなければいけなかったり(イタリアには 口座振替は存在しない)、道を歩いていると配達夫に呼び止められて「実はお宅宛の 小包がひとつ盗まれちゃったんだけど」などと告白されたりするのです。ったく…と 思っていたら、新聞にヨーロッパ各国と比較したイタリア郵便システムの非効率さに ついてのデータが載っていたので、ちょっと紹介しましょう。これが実際ひどいんだ 、また。
イタリアから他のEU諸国に出した手紙が着くまでの日数は平均4.8日、一方、ドイツ 、フランスでは3日そこそこ。もっとひどいのが他国からイタリア宛に出した手紙が 着くまでの日数で、何と7.2日もかかるのです。ちなみにドイツ宛は3日、イギリス 宛だと2.9日。これはつまり、イタリア国内に入ってからが長いということ。それも そのはず、国内郵便(500H以内)1通あたり、他の国々が多くても2日しかかから ないのに、イタリアでは平均5日もかかっています。信じられない。
経験上、特にひどいのが夏休みとクリスマスの時期。夏休みはもちろん郵便局員の皆 さんも休むので人が減るから、クリスマスは、みんながクリスマスカードやギフトを 送るので郵便物の量が膨大になるから、ということなんですが、日本と違って、特に この時期に備えて何かするというようなこともないので、結果的に、カードもギフト も、年が明けてからもまだ届き続けるということになるわけです。
郵便局の窓口が開いている時間は1日平均5.2時間。他のEU諸国では大体10時間が普 通、イタリア人よりもぐうたらだとよく言われるギリシャは何と12時間も開いている というのに…。「地中海クラブ」仲間のスペインだって12時間です。
しかも、イタリアの場合、いくつかしかない窓口で、公共料金や郵便振り込みの支払 いから年金の受け取りまで、一緒くたに取り扱うものだから、どの窓口もいつも回転 が悪いのです。7〜8人も並んでいたら30分待ちは覚悟しなければなりません。運が 悪いと順番が回ってくる前に窓口が閉まって、ほかの列に最初から並び直さなければ ならなくなったりもします。で、どうして急に窓口を閉めるのかと思って見ていると、これが私用電話だったり、 就業時間中に交代で買い物に行く(!)順番が回ってきたり、というのが判明したり して(もちろんそういうのばっかりじゃありませんが)、これには本当にもう頭にき ます。といっても、窓口のこちら側にいる我々には手の打ちようもなく(周りの人た ちは、あーまたか、と思ってもう諦めている風情)、みんなでぞろぞろと開いている 窓口に移動しながら、郵便局員に向かって(または神様に向かって)呪いの言葉を吐 くしかありません。居合わせるとイタリア語の語彙のいい勉強にはなるんですがね。 さすがにこの現実に目をそむけるわけにも行かず、郵政省は20%の効率化と25万人か ら18万人への人員削減(人手が足りないのではなく単に効率が悪いだけなんだから) に乗り出そうとしたんですが、その前に立ちはだかったのが労働組合。一度はこの案 に同意したものの態度を変え、労働強化反対と雇用の確保を盾に、ストライキに打っ て出たのです。利用者としては、んなこといったって、もうちっとちゃんと働けばい いだろーが、と思うのですが、彼らは利用者のことなんかおかまいなし。これでまた 更に郵便が遅れるわ、公共料金は払い損ねるわで、こっちはいい迷惑です。
結局、ストのあと労使の間で合意が成立して、合理化には乗り出したようなのですが 、数カ月経っても別に何かが改善されたようには見えません。にもかかわらず、郵政 省は、莫大な広告費を投入して「あなたの郵便局がより便利になりました」などとい うキャンペーンを打ったりしています。さすがにこのキャンペーンは、ある新聞に「 郵便局の大嘘つき―大金を使ってウソをいいふらすくらいなら、もっとちゃんと働け 」と叩かれていましたが。
あーあ。それにしても、1カ月前に日本から送ってもらったはずの荷物、一体いつに なったら届くんでしょうね。
