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ALBA ここはランゲの丘陵に抱かれた中世の面影を未だに残す、ピエモンテ州の古都です。 いつもは、静かな佇まいを見せるこの町も、秋になるとヨーロッパのグルメ達から 羨望の眼差しを向けられ、多くの観光客が訪れます。
それは、ここがあの 白トリフ(tartufo bianco)のイタリア屈指の産地であり、また バローロ・バルバレスコと言ったイタリア最高級の名醸ワインの産地でもあるから です。10月の第一日曜日には“パリオ”が、そして時を同じくして“トリフ祭り”が催され ます。中世の城塞に囲まれた町の狭い通りは、“パリオ”の祭日ともなると観光客で 身動きが取れない程。
周りの商店は秋の味覚、茸や木の実などで奇麗に飾り付けされ、トリフを売る店の 入り口からはもうあの強い芳香が微かに鼻孔を刺激します。
皆さんの多くは“パリオ”と聞くと、トスカーナの古都シエナのカンポ広場 で繰り広げられるあの裸馬の競馬を思い浮かべる事でしょう。もちろんここアルバ でも、全く同じシーンを見る事が出来ます。その始まりは1275年に溯り、その後一時中断 したものの復活して今日に至っています。
厳粛な儀式を済ませた後、中世の衣装に身を包んだ人々が町をパレードする光景は まさに中世絵巻きを見るかのよう。試合の合間に旗手達が見せる華麗なデモンストレー ション、カラフルな旗が青く澄み渡る空高く舞い上がります。ここで観客から送ら れる割れるような万雷の拍手!
さて、いよいよ待ちに待ったレースの始まる瞬間です。華やかな衣装を身につけて 旗手達が、馬と共に観客の前に姿を現す瞬間。でも、おや?少し様子が変。それも そのはず、ここアルバの“パリオ”は、馬ならぬロバの競馬だったのです。さあ、 合図と共に各ロバいっせいにゲートを・・・・と言いたい所ですが、実際はまともに 走るロバは皆無。旗手を乗せて一歩も歩もうとはしないもの、悠々垣根を作っている 藁を食べるもの、果ては逆方向へ歩き出すもの、場内は一斉に笑いの渦に包まれた 一幕でした。
さて一方の“トリフ祭り”はと言いますと、広場にしつらえらえたテントの周りには これまた観光客の人だかり。中に入ると、テーブルの上には厳かにトリフが鎮座し まるで宝石の展示会場の趣。客はと言えば、買う人はまばら、ただただうっとりと 遠目に小さな塊を前にして、ため息を吐くばかりといった様子。まさに「茸の皇帝」 の名に恥じない、光景が展開されていました。たとえ買わずとも、会場内に充満する 白トリフ特有の芳香を充分に堪能出来た一時でした。香りは無料ですから。
しかし、ここで白トリフを口にせずに帰るなんて!一緒の片野氏と宮野嬢と共に市内 の某レストランへ。この時期、ピエモンテのレストランでは、どこでもトリフ尽くし のコースがメニューを飾り、訪れた客は至福の一時を過ごすのです。レストランも お客も待ちに待った瞬間、店も出血大サービスで前菜からパスタから、トリフを惜し むこと無くスライスしてふりかける。日本では到底体験出来ない夢のようなそして 至福の一時でした。