第2回 「トロペア」

イタリア半島の最南端に位置するカラーブリア州。 ティレニア海とイオニア海に挟まれ、シチリアヘの玄関口ともなるこの州にはまだ殆ど日本では紹介されていない数多くの素晴らしい街が存在します。 そのひとつに、真珠のように美しい街トロペアがあります。

ナポリからティレニア海に面した線路を南下すること約3時間列車はカンバーニア州と パジリカータ州を越え、カラーブリア州へと入ります。 その頃にはすっかりと車窓からの風景も変わり、一方に映るきれいな海とは対照的に、反対側の窓には岩肌をむき出しにした険しい山々が姿を見せます。 時折その急な岩肌の上に、どこか寂しげな小さな街が現われては消えていきます。 やがて列車はカラーブリアの重要な交通のの拠点でもあり、ワインの産地としても有名な、ラメツィーア・テルメに到着します。
飛行場もある近代的なこの街から少し先の、エッチェレンテで列車は内陸部を走る線と海ぞいを走る線こ別れ、やがてはロサルノでまたおちあうことになります。 秘境の様な荒々しい山々に囲まれた内陸部を走る線とは対称的に、もう一方の線はカラーブリアが誇る美しい海辺のリゾート地を巡ります。

そのリゾート地の中でも、ひときわ目立っているのがトロペアです。 カラーブリア州の人々のリゾートといった印象が強く、北イタリアからの旅行者も少し見られますが、ほとんどは地元の人々で日本人も含めて他の国の観光客はまず見当たりません。
かつては“貴族の街”といわれていたように美しい石畳が敷きつめられた旧市街には 装飾が施されたいくつもの優雅な館が立ち並んでいます。 レストランや商店が連なる上品な通りや、入り組んだ狭い路地からなる迷路の様な一角もあり、こじんまりとした小さな街であるにも関わらず、どんなに歩き回っても飽きることはありません。
街のシンボルでもあるロマネスク/ノルマン様式の大聖堂は、11〜12世紀に建設され 美しくシンプルなファサードは柱廊に接しています。 内部には、第二次世界大戦時に落とされた不発弾も飾られています。 街の中心の広場は常に活気あふれ、人々は南イタリアの太陽をいっぱいに浴びながら パールのテラスでくつろいだり、おしやペりをしたりして、ゆっくりとした時を過ごしています。

しかし、なんといってもこの街の一番の魅力は、その独特のロケーションにあります。トロペアは、海に切立った断崖の上に築かれていて、街の端はどこまでが岩で、どこからが住居の壁になるのか見分けもつきません。 急な階段を何段も下り、白くキラキラと輝く砂浜からこの街を見上げてみると、その迫力に圧倒されます。
海が見渡せる見晴らしのいい広場やテラスには、夕暮れ時ともなると海に沈む太陽を見ようと多くの人たちが集まります。 天気の良い日にはまた、遥か彼方のストロンボリ島(エオリア諸島)も見ることが出来ます。
この断崖の下に広がる美しい海の脇には小さな岩山があり、その上に大聖堂と同様に この街のシンボルともいえる協会が建てられていて、一日中街を見守っています。

自分たちがトロペアの出身であることに強い誇りを持つここの人々は、どこか上品で それでいて気取った所はなく、とても親切です。 他の州のリゾート地と比べると、ホテルの料金もかなり低めに設定されていますから、一度行かれてみてはいかがですか?
フルーツのように甘いトロペアという名の赤玉葱や、この界隈の海で採れるカジキ マグロをふんだんに使った料理を堪能しながら、ゆったりとヴァカンスを楽しんで 下さい。


  • 「エオリア諸島」(シチリア)
  • 「トロペア」(カラーブリア)


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