SECONDI PIATTI(第二番目の料理)


さていよいよセコンディ・ピアッティ(メイン料理)の登場です。ピエモンテの類希なる自然の 恵を受けた数限りない豊かな食材がその真価と魅力を余すことなく発揮し又それを 堪能出来るのはやはり“secondi piatti”でしょう。
アルプスの渓流や湖沼地帯からは、鱒をはじめ“tinca”“coregono”“alporella” といった鯉や鮭に似た美味な淡水魚が取れ、なだらかな平原にかけては野ウサギ、鹿、 鴨、雉といったジヴィエや放牧された牛が、さらにはカエルからエスカルゴまで まさに食材の宝庫と言えましょう。その中から何品かを紹介しましょう。

Finanziera(フィナンツィエーラ)
この言葉は、1800年代の貴族や高官が身につけていたフロックコートを意味しますが、 サヴォイア家の財務官などの仕事が忙しい人達が手早くかつヴァランスよく食事を とれるようにと考え出された料理とも一説には言われています。
また、当時トリノ市内の市場に家禽類を売りに来た庶民が、門番達に自由に通行出来る 見返りに家禽類の臓物などを提供し、それを使った料理が始まりとも言われていますが 私としては後者の方が信憑性が高いように思えます。
鍋に仔牛のレバー、リードボー、家禽類の肝臓、心臓、砂肝、鶏冠、肉垂などや茸を 入れ、ブイヨンとマルサラワイン、それに各種のスパイス(シナモン、ナツメッグなど) も加えとろ火でじっくり煮込んだ料理です。これ自体で“piatto unico”(一品料理) ともなりうるし、それ以外にもパスタの詰め物や“risotto bianco”(具なしリゾット) に添えられたりもします。

Fritto Misto alla piemontese(ピエモンテ風フリット・ミスト)
今やイタリア中どこでも見られる「フライ料理」の定番メニューですが、しかし 「ピエモンテ風」と名が付くと大きく違います。その特徴はなんといっても材料の ヴァリエーションの多さと量でしょう。その材料に制約はないのですから。 そもそも、その始まりは農家で豚を屠った時にまず一番腐りやすい部位をフライ にして食べるようになったのが始まりと言われています。伝統的なやり方はバターを 使うのですが今日ではオイルで揚げるのが一般的です。
何でも揚げていいかと言うと、それには伝統的にその順番があります。 まずは各種野菜からです。その次が肉類ですがその種類は想像を絶します。 例えば、カエルの卵、野ウサギの脳みそなど。しかし、一般的には以下のものが 使われます。レバー、salciccia(生ソーセージ)、リードボー、脳みそ、 それに仔羊の骨付き脇腹肉などの各種の肉などです。
そして、そして最後にはフルーツと甘いものが。フルーツは林檎にはじまり梨から バナナまで、そして最後に甘いセモリナ粉のパスタ(frittura bianca)、甘い リキュールに漬けたアマレッティ(ビスケットの名前)まであります。
しかし、使われる材料はそれぞれの四季に応じた旬のものが使われるのが鉄則です。 まさにこれ一品で前菜からデザートまでフルコースメニューの感があります。
Ivrea(イヴレア)などのCanavese(カナヴェーゼ)地方を訪ねた時は、 実際そのようなコースメニューで出しているリストランテもありました。

Gran bollito misto piemontese(ピエモンテ風グラン・ボッリート・ミスト)
“Bollito misto”という料理名は今やイタリア中見られますが、ピエモンテ風と 名が付くとやはり先の“Fritto misto”同様その使われる食材の数の多さが特徴と 言えるでしょう。
ここに一つ興味深いお話を書こうと思います。アスティ出身の弁護士Giovanni Goria なる人物がこういう言葉を残しています。

“Il gran bollito misto e' un piatto che ha un pizzico di magia.”
「グラン・ボッリート・ミストは一掴みの魔法のような料理である。」

そして、その中で“il sette e il tre”(7つと3つ)と言う数字を挙げています。 すなわちこれが、この料理に使われる食材の数なのです。
まず、最初の7つは、仔牛の切り身肉、下ばら肉、脂身のあばら肉、赤みのあばら肉、 腿肉、肩肉、下腹肉です。
二つ目の7つは、牛の尾、舌、頭、足、丸の鶏、コテキーノ(ソーセージ)、肉団子 です。
そして最後の7つはヴァラエティー豊かな野菜です。
実際にランゲのとあるトラットリーアでこの料理を注文した時には、ワゴンの上に 山のようにこれらのボイルされた肉が積まれドキモを抜かされました。まさに ピエモンテーゼの健啖ぶりこれに極まりと言った感でした。
これらの肉や野菜は“salsa verde”(パセリベースの緑色ソース)、“salsa rossa” (トマトベースの赤色ソース)、“salsa gialla”(マスタードベースの黄色ソース)、 そして伝統的な胡桃などを使った“salsa del pourom”“salsa dj avije”を好みで かけて食べます。

Brasato al Barolo(牛肉のバローロワイン煮込み)
昔、この料理には田畑の耕作や運搬の為の使役牛“Bue”が使われていました。 今では、食用の去勢雄牛がもっぱら使われています。当時は、ストーブの炭火で ゆっくり時間をかけて煮込まれたものです。
この料理は“バローロ”と名づけられていますが、それぞれの地方の地元ワインで 作られるのが一般的です。当然ながらピエモンテ産の“Barbera”“Nebbiolo” “Arneis”など。
この料理の特徴は料理される前に香味野菜と濃厚な赤ワインで6時間から2昼夜かけて マリネにされることです。そして伝統的にはこの料理と一緒に飲まれるワインは この時に使われたワインでなければなりません。

☆この料理のリチェッタは “料理教室(ricetta)”をご覧ください。


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