ナミ その細い肩に 消したはずのタトゥーを その小さな掌に 拭ったはずの血の痕を その淡い睫毛(まつげ)に 浮かべることを禁じた涙を 俺は見る この世で最も辛いのは 何のあろうと 死ねない身 ぬしの手に 幾百の命のあったことを 俺は見る そして今なお 背幅ある男を見る上向きのぬしの目が 禍々しい残像の甦る網膜に ほんの少し怯えて にこ毛を硬くするのが 俺には分かる だから ぬしの前に俺はひざまずこう 強き者への礼儀として 弱き者への愛として ぬしの目が亡霊を見ぬように ぬしの前に俺はひざまずくから 今日のこの日 ナランハの実の色をしたその髪に 俺は白い鮮やかな花を挿そう まばゆく清冽(せいれつ)なその手の甲に 俺はささやかなキスを尽くそう ぬしの頬が ほころび笑むのを ひざまずいて 俺は見るから 7月3日 ――ジュラキュール・ミホーク |